「レガシー残せた」 ナダルが涙の引退スピーチ
【マラガ(スペイン)AFP=時事】男子テニスの国別対抗戦デビスカップでスペインが敗退し、現役引退が決まったラファエル・ナダルが、選手としてだけでなく、人間としてもテニス界に財産を残すことができたと涙ながらにキャリアを振り返った。≪写真は、男子テニスの国別対抗戦デビスカップ、準々決勝、オランダ対スペイン。試合後のセレモニーで手を振るスペインのラファエル・ナダル≫
38歳のナダルは19日、母国スペインのマラガで行われた準々決勝オランダ戦のシングルス1試合目に登場したものの敗戦。チームも1勝2敗で敗れ、ベスト8敗退となった。
四大大会(グランドスラム)通算22勝を誇り、23年間にわたり輝かしいキャリアを送ってきたナダルは、引退セレモニーで「心穏やかに引退する。スポーツ面だけでなく、個人としてもレガシーを残せた」とファンに語りかけ、「コートで実績を残しただけであれば、これほどの愛情は受け取れなかったはずだ」と話した。
さらにナダルは、ジュニア時代から長くコーチを務めたおじのトニ氏ら、支えてくれた多くの人々に感謝の意を表し、「タイトルや数字はたくさんの人が知っているだろうが、個人的にはマヨルカの小さな村から来た善良な人間として覚えていてもらいたい」と話すと、「幸運なことに、村にテニスコーチのおじがいて、どんなときでも支えてくれる家族もいた」「夢を追いかけて夢見ていた以上のことを成し遂げた良い人間として覚えていてもらいたい」と呼びかけた。
会場では、ナダルをねぎらうビデオメッセージが流れ、かつてのライバルであるロジャー・フェデラー氏やノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレー、女子のセリーナ・ウィリアムズ氏といった大選手の他に、サッカーのスーパースターであるラウル・ゴンザレス氏やアンドレス・イニエスタ氏もコメントを寄せた。
今後については、引き続きテニスの「良い大使」でありたいと述べ、「これからのことは予習できているので、落ち着いている」と説明。「日々必要なことをなんでも手伝ってくれる素晴らしい家族がいる」ため、引退に怖さはないと語った。
ナダルと同じスペイン出身の新鋭で、後継者と期待されている世界3位のカルロス・アルカラス(21)は、「彼のレガシーは永遠だ」と話し、「テニス界だけでなく、スポーツ界全体にとっての偉大な選手。少なくとも個人的には、彼の残したものを引き継ぐのは難しい」と続けると、「彼がテニス界やスペイン、僕の人生にいてくれただけで最高だった」と感謝した。
スペインのダビド・フェレール監督も「偉業を記憶される人もいれば、死ぬまで記憶される人や、永遠に記憶される人もいる。君は永遠に記憶される人間だ」とナダルをたたえた。
ナダルへのねぎらいはスペイン国外からも寄せられ、全仏オープン14勝を挙げて「赤土の王」と呼ばれたフランスのパリでは、エッフェル塔の前の夜空にナダルの画像が映し出された。
また元世界1位のボリス・ベッカー氏は、X(旧ツイッター)に「話しながら泣いている。ラファエル・ナダルは一時代を築いた絶対的なアイコンだ。ラファのような選手は二度と現れないだろう」と投稿した。【翻訳編集AFPBBNews】
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