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2024-11-17 14:10

空母艦載機移転後の騒音争点＝第５次厚木基地訴訟、２０日判決―横浜地裁

　米軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地（神奈川県大和、綾瀬両市）の騒音被害を巡り、周辺８市の住民約８７００人が、国に航空機の夜間・早朝飛行の差し止めと計約１３１億円の損害賠償などを求めた第５次騒音訴訟の判決が２０日、横浜地裁で言い渡される。
　１～４次訴訟では過去分の騒音被害について賠償を認める判断が確定。４次訴訟の一、二審が命じた自衛隊機の飛行差し止めについては、「運航には高度の公共性がある」として最高裁で退けられた。その後、米軍の空母艦載機が２０１８年までに岩国基地（山口県）へ移転しており、現在の騒音状況をどう評価するかが最大の争点となっている。
　原告側は、同種訴訟で定着していた航空機騒音の基準「うるささ指数」（Ｗ値）による評価は見直す必要があると指摘。国内で１３年から採用されている各種騒音の共通指標「Ｌｄｅｎ」などを用いると、軍用機の騒音は民間機などによる騒音と比べて過小評価されており、移転後も被害は継続していると主張した。
　これに対し国側は、岩国基地への移転や、従来機より騒音を抑えた自衛隊機の導入などにより騒音は軽減されているなどと反論した。
　このほか、原告側は国に対し、被害解消に向け米側と協議することを求めた。福田護弁護団長は「（住民の）基本的人権を侵害しているとしたら、国は改善を求めなければならない」と話している。　
　

　◇厚木基地を巡る動き
１９４１年ごろ　　旧日本海軍の基地として使用開始
　　４５年　９月　米軍が接収
　　６０年　６月　日米安保条約が発効。日米地位協定に基づき米国に提供
　　７１年　７月　米海軍と海上自衛隊の共同使用開始
　　７６年　９月　第１次訴訟提訴。飛行差し止めと損害賠償請求
　　８４年１０月　第２次提訴
　　９３年　２月　最高裁「民事訴訟での飛行差し止めは認められない」
　　９５年１２月　第１次訴訟の差し戻し審判決。過去の被害への賠償命令（確定）
　　９７年１２月　第３次提訴
　　９９年　７月　東京高裁、第２次訴訟で過去分の賠償命令（確定）
２００６年　７月　同高裁、第３次訴訟で過去分の賠償命令（確定）
　　０７年１２月　第４次提訴。行政訴訟として飛行差し止めも請求
　　１３年　４月　航空機騒音の評価指標が「Ｗ値」から「Ｌｄｅｎ」に
　　１４年　５月　横浜地裁、自衛隊機飛行差し止めと過去分の賠償を命令
　　　　　　７月　米海兵隊のオスプレイが初飛来
　　１５年　７月　東京高裁、１６年末までの飛行差し止めと、将来分も含む賠償命令
　　１６年１２月　最高裁、飛行差し止めと将来分の賠償請求退ける
　　１７年　８月　第５次提訴
　　　　　　　　　空母艦載機の岩国基地（山口県）移転開始
　　１８年　３月　移転完了
　　２４年１１月　横浜地裁で判決
［時事通信社］

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