ロシア領への長距離攻撃容認=米、北朝鮮参戦で方針転換―報道
【ワシントン時事】米紙ワシントン・ポスト(電子版)などは17日、バイデン大統領がロシアの侵攻を受けるウクライナに供与した長距離ミサイルについて、ロシア領内への攻撃に使用することを容認したと報じた。これまでロシアを過度に刺激しかねないとして反対してきたが、北朝鮮の参戦などを受けて方針転換した。
ロシア領内への攻撃が認められたのは、最大射程約300キロの長距離地対地ミサイル「ATACMS」。報道によると、ロシア西部クルスク州で越境作戦を展開するウクライナ軍と交戦している北朝鮮軍とロシア軍に対して、最初に使用される可能性が高い。
米国は昨年来、ウクライナにATACMSを供与してきた。ただ、ロシア占領下のウクライナ南部クリミア半島への攻撃に使用することは認めたものの、ロシア領内への攻撃は認めていなかった。ロシアのプーチン大統領は今年9月、長距離兵器での攻撃容認は「事実上の対ロ参戦と見なす」と米国などをけん制していた。
繰り返し使用容認を働き掛けてきたウクライナのゼレンスキー大統領は、17日のビデオ演説で報道に言及。「攻撃は言葉で行われるのではない。ミサイルがおのずから語るだろう」と強調した。
バイデン氏は来年1月に退任。共和党のトランプ次期米大統領はウクライナ支援に後ろ向きな姿勢を示している。プーチン政権はトランプ政権の再来をにらみ、ウクライナ東部ドネツク州での占領地拡大を急いでいる。ただ、長距離兵器投入が戦況に及ぼす影響は不透明だ。
トランプ氏に外交政策を助言している駐ドイツ米大使経験者リチャード・グレネル氏は、X(旧ツイッター)で「(バイデン氏は)退任前に戦争をエスカレートさせている」と非難。一方、共和党で安全保障政策に精通するターナー下院議員は「もっと早くゼレンスキー氏の嘆願に耳を傾けるべきだった」と、バイデン氏の対応の遅さを批判した。
[時事通信社]
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