極右ルペン氏、政敵が擁護=大統領選出馬危機で―仏
【パリ時事】フランスの極右・国民連合(RN)が欧州連合(EU)から巨額の公金を横領したとされる事件の公判で、検察がRNを実質的に率いるルペン前党首(56)の被選挙権停止を求刑した。判決次第では、2027年の次期大統領選に立候補できない可能性がある。出馬をうかがうライバルには好都合な事態のはずだが、聞こえてくるのは司法批判や、ルペン氏を擁護する声だ。
「出馬できなくなれば非常にショックだ」。マクロン大統領を支える中道政党「再生」所属のダルマナン前内相(42)は13日、SNSでルペン氏をかばう異例の投稿を行い、波紋を呼んだ。
ルペン氏は12年、17年、22年と過去3回連続で大統領選に出馬。全て敗北したが、マクロン氏と一騎打ちを演じた22年の決選投票では得票率が40%を超えた。RNは今年の総選挙で政権批判の受け皿となり、下院第1党に躍進。波に乗るルペン氏は次期大統領選で最有力候補の一人に数えられる。
一方のダルマナン氏は、今年のパリ五輪を万全の警備で成功に導き、名を上げた。大統領選への意欲は公然の秘密だ。SNSでは、政治家は選挙によって裁かれるべきだと主張。「エリートと大多数の市民の溝を深めてはいけない」とも記し、司法に世論との乖離(かいり)を警告した。
検察は13日の公判で、判決確定を待たず被選挙権を停止できるよう、仮執行の宣告を求めた。ルペン氏はこれが「政治的な死刑」の求刑に等しいと猛反発。死刑を仮執行すると取り返しがつかないと訴えた。EU側の弁護士すら、推定無罪の原則との兼ね合いから「一般論としては仮執行に反対だ」と述べた。
急進左派「不屈のフランス」を束ね、こちらも大統領選出馬を見据えるメランション氏(73)は、政治家に対する司直の裁きに世界中で「不信がある」と指摘。仮執行で被選挙権が停止されれば「政治危機は悪化し、社会に何の得もない」と強調し、犬猿の仲のルペン氏に塩を送った。
[時事通信社]
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