港湾開発、自然破壊の代償=中国依存への不安も―ペルー
【チャンカイ(ペルー)時事】ペルー太平洋岸のチャンカイで14日、巨大港湾が開港した。当初、地元資本で進められていた港湾建設に計画途中で中国国営企業が参入したことにより規模が拡大。漁業や観光が中心だった町が開発ブームに沸く一方、自然破壊など負の側面も目立つ。
地元で環境保護活動を推進するミリアム・アルセさん(53)は「生物多様性が破壊されてしまった」と嘆く。周辺の海域はプランクトンが豊富でイワシ漁が盛んだったが、港湾建設で状況は一変。他の漁場に移動を余儀なくされた。開発で山を崩したり、トンネルを掘ったりするために発破作業を実施。工事は夜を徹して行われ、アルセさんを含め多数の周辺住民が、健康や建物の被害に見舞われた。
工事で人の往来が増え、ベネズエラやコロンビアなどから外国人労働者が流入。静かで安全だった町の治安が悪化した。中心部で警備を担当するエドウィン・メディナさん(50)は「この2年で犯罪が60%増えた」と語った。携帯電話のひったくりが目立ち、殺人事件も起きるようになったという。
一方、ペルーが近年、最大貿易相手国の中国に接近していることに不安を抱く向きもある。計画推進の過程では、中国企業に対し独占的に運営する権利を政府が付与したことが国会などで大きな議論となった。
リマ大学のアレクサンドレ・デルサビオ教授は、貧困率が一部で30%に達するペルーでは成長への投資が必要で「世界から投資を受け入れる用意がある」と指摘。「中国と協力しつつ連携の相手を多様化すれば、経済的自立を維持しながら利益を享受し続けることができる」と述べ、中国に依存し過ぎないことが重要だと強調した。
[時事通信社]
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