米、日韓の懸念払拭に腐心=トランプ政権発足控え
【リマ時事】ブリンケン米国務長官は14日、ペルーの首都リマで岩屋毅外相、韓国の趙兌烈外相とそれぞれ会談し、来年1月に発足するトランプ次期政権に対する懸念の払拭に努めた。バイデン政権下で協力を深めた日米韓だが、トランプ次期大統領が3カ国の連携を重視するかは不透明で、日韓両政府の不安は続きそうだ。
「ナイスガイだ」。ブリンケン氏は岩屋氏との会談で、トランプ氏が国務長官に指名すると発表したルビオ上院議員について、こう強調した。趙氏には米韓同盟への米議会の超党派の支持が強固だと指摘し、「これまでの協力の成果がしっかり引き継がれていくだろう」と語った。
トランプ氏の返り咲きが決まった後、ブリンケン氏が日韓両外相と対面で会談するのは初めて。ブリンケン氏の言葉には次期政権下でも良好な関係が続くと「確約」し、日韓当局者の不安解消を図る一方、同盟関係は揺るがないと中国や北朝鮮に見せつける狙いがあったとみられる。
トランプ氏は政権1期目で国際協調を軽視し、自国を優先する「米国第一」を推し進めた。日韓の頭越しに北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との直接対話を行い、在韓米軍の駐留経費負担の大幅増を迫った。日韓当局者には、トランプ政権に振り回された苦い記憶が残る。
同盟重視のバイデン政権下では一転、韓国の政権交代もあり、3カ国の連携が加速。15日の日米韓首脳会談では、協力の制度的枠組みとして事務局を設置することで合意する。韓国外交筋は、米国の政権交代で「積み重ねてきたものが崩されるのは見たくないのが本音だ」と語る。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は14日、ペルーに向かう大統領専用機内で、次期政権でも3カ国協力が続くか記者から問われ、日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」に言及。政権交代を経ても取り組みを拡大してきた経緯に触れ、「適切に制度化されれば存続できると確信している」と強調した。
[時事通信社]
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