イスラエル首相、強硬方針維持へ=トランプ氏勝利「最良シナリオ」―ガザで軍事作戦継続
【カイロ時事】米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことを受け、パレスチナ自治区ガザやレバノンで続く戦闘を巡り、イスラエルのネタニヤフ首相は強硬な方針を続けることに自信を深めているとみられる。トランプ氏はイスラエルの立場を明確に支持してきた。イスラム組織ハマスとの停戦交渉妥結を求める声が国内でも高まりつつある中、ネタニヤフ氏はトランプ氏の返り咲きを「最良のシナリオ」(イスラエルのメディア)と考えているもようだ。
「私は戦争を止める」。トランプ氏は6日の勝利宣言の演説で、ガザをはじめとする世界中の紛争終結を念頭に訴えた。額面通りであれば、イスラエルに圧力をかけて早期停戦を目指すことも考えられる。しかし、トランプ氏は「100%イスラエルを支持する」と公言したことがある。ネタニヤフ氏の後ろ盾となり、軍事作戦の継続を容認するという見方も出ている。
イスラエル軍によるガザへの攻撃で多数の民間人が犠牲となる事態が続き、バイデン米大統領はネタニヤフ氏に苦言を呈し、停戦を促してきた。これに対し、ネタニヤフ政権を支える極右2党は政権離脱をちらつかせながら、戦闘継続を強く主張。2党の支持を失えば退陣に追い込まれることが確実視されているネタニヤフ氏にとって、戦闘を継続する以外の選択肢はないのが実情だ。
ネタニヤフ氏は大統領選の結果が出る前の5日、「戦時体制」を維持するための人事を突然発表した。早期停戦を唱えるガラント前国防相を解任し、後任にネタニヤフ氏の腹心であるカッツ前外相を起用すると表明。新外相には、右派政党「新たな希望」のサール党首を充てた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ氏の大統領当選とガラント氏の解任によって「ネタニヤフ氏が思い通りに動ける範囲が拡大した」と伝えた。
[時事通信社]
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