ハリス氏、経済で守勢=好調GDP、国民実感なく―米大統領選
【ワシントン時事】30日に発表された7~9月期の米実質GDP(国内総生産)は季節調整済み年率換算で前期比2.8%増加し、経済の着実な成長が示された。しかし、国民に好景気の実感は乏しい。11月5日投開票の米大統領選では、共和党候補のトランプ前大統領がバイデン政権の「経済失政」をたたき、民主党候補のハリス副大統領は守勢に立たされている。
「フェイク(偽の)経済だ。ハリス氏はわれわれの生涯で最悪のインフレの原因となった」。トランプ氏は29日の集会で、政権の経済運営への批判を繰り返した。
一時、約40年ぶりの高さを記録したインフレ率も、数字の上では低下した。しかし、インフレは家賃などでしつこく尾を引いている。
米CBSテレビが10月下旬に行った世論調査では、経済状況について「非常に悪い」「相当悪い」と回答した割合は計61%に上った。ホワイトハウス高官は好景気が実感されない理由について、「価格水準はなお、多くの人々にとって高過ぎる」との見方を示す。
ハリス氏は29日、ホワイトハウス前の広場で演説し、「われわれの最大の課題はコスト引き下げだ」と強調。大統領になれば、住宅取得や子育てなどで負担軽減に取り組むと訴えた。
米社会の著しい格差も、物価高を巡る労働者層の負担感を一層重くしている。米国勢調査局によると、2023年の大卒以上の収入中央値は12万6800ドル(約1900万円)だったのに対し、高卒は5万5810ドルにとどまった。
CBS調査では、非大卒の白人の約6割はトランプ氏を支持。米政治学者は「取り残されたと感じている人々を、トランプ氏は取り込む狙いだ」と分析した。
[時事通信社]
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