石破政権1カ月、強まる逆風=退陣否定、いばらの道
石破茂首相は11月1日で就任1カ月を迎えた。就任直後に踏み切った衆院解散・総選挙は裏目に出て与党過半数割れの惨敗を喫した。退陣を否定し政策実現に意欲を示すものの、派閥裏金事件の逆風は収まらない。いばらの道が続くのは確実だ。
政府は11月中旬にも総合経済対策をまとめる方針。首相は31日、首相官邸で加藤勝信財務相から報告を受け、「引き続きしっかり検討してほしい」と指示した。求心力が低下する中、どこまで「石破カラー」を出せるかが課題だ。
首相は9月の自民党総裁選で金融所得課税強化や選択的夫婦別姓導入を訴えたものの、衆院選では封印し「変節」批判を受けた。首相側近は「独自色を出さないように党から抑えられていた」と明かした。
今後は看板政策の実現に力を注ぐ考えだ。地方創生に関し、「新しい地方経済・生活環境創生本部」で近く本格的な議論に着手。持論である防災庁設置に向けても11月1日に準備室を設置し、具体化を急ぐ。
首相に近いベテランは「持論を控えて裏目に出た。これからは首相の思いを忠実に出すべきだ」と首相に助言し、首相も同意したという。
ただ、「少数与党」となり、政策実現のハードルは高まった。予算案や法案を与党だけで成立させることはできず、政府関係者は「野党の賛成がないと政策が前に進まなくなる」と懸念する。
派閥裏金事件は火種として残る。自民は裏金事件に関与した世耕弘成氏ら4人の会派入りを決めたが、石破氏に近い閣僚経験者は「急ぐ必要はなかった」と述べ、「悪手」だったと認めた。野党は国会で裏金問題の再調査や、関係議員の政治倫理審査会での弁明を求める構えだ。
自民関係者は、1994年4月に発足した羽田内閣と重ね合わせる。「少数与党になり2カ月で退陣した」と指摘し、石破政権の先行きを案じた。
[時事通信社]
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