2024-10-25 20:24政治

野党、「自民離反票」に照準=2000万円問題、自民に焦り【24衆院選】

 衆院選(27日投開票)の最終盤で、野党は自民党から離れた有権者の「受け皿」役を担おうと躍起だ。裏金事件への追及に加え、それぞれ「中道」や「改革」色を訴えて支持拡大を狙う。非公認候補への2000万円支給問題で集中砲火を浴びる自民は切り崩しに危機感を強めている。
 「(支持が)伸びているところが増えている。もっと競り勝てば与党過半数割れは十分あり得る」。立憲民主党の野田佳彦代表は25日、千葉県鎌ケ谷市で記者団に対し、躍進への自信を示した。
 野田氏は街頭演説で裏金事件そのものを批判するとともに、自民による非公認候補への活動費2000万円支出にも矛先を向け、「裏公認料だ。ペナルティーを与えなければいけない」と強調。自民内で慎重論が根強い選択的夫婦別姓制度についても「保守とかリベラル(の話)ではない」と述べ、中道の立場で早期実現を訴えた。
 もともと保守的な信条の野田氏が党の顔となったことで、立民関係者は「穏健保守層にも受け入れられている」と前向きな変化を見て取る。共産党との候補一本化が不調に終わったことも「自民支持層の受け皿となるにはプラスの面もあった」と分析する。前回の衆院選で立民は共産と共闘し、与党から「立憲共産党」呼ばわりされ、防戦を強いられた。
 日本維新の会の馬場伸幸代表は持論の「身を切る改革」をアピールする。25日、神戸市での街頭演説で「新しい国のかたちをつくっていこう」と訴えた。維新関係者は2009年に自民が大敗した衆院選と「雰囲気は似ている」と話し、自民離反票の取り込みを図っている。
 安倍政権を下支えした「岩盤保守」とも呼ばれる自民支持層の争奪戦も活発だ。参政党の神谷宗幣代表は24日、横浜市での演説で「選択的夫婦別姓が進めば当然家族の絆が緩む」と述べ、「自民党はニュートラル(中立的)。反対は参政党だけだ」と主張。政治団体「日本保守党」の百田尚樹代表は同日、京都市で「外国人移民」への反対姿勢を前面に訴えた。
 逆風を受ける石破茂首相は野党批判を強めている。25日、青森市での街頭演説で「野党はどんな政権をつくるのか全く分からない。そういう人たちにこの国を任せては絶対ならない」と声を張り上げたが、焦りの裏返しとも言えそうだ。自民関係者は「首相に期待した中道保守層は立民などに流れ、岩盤保守の一部も剥がれている」と懸念を示した。 
[時事通信社]

最新動画

最新ニュース

写真特集