野党、見えぬ政権枠組み=共闘崩れ、競争激化【24衆院選】
衆院選で、立憲民主党など野党各党は党勢拡大を優先し、共闘は崩れた。自民、公明両党を過半数割れに追い込むことでは一致しているが、野党内の競争も激化。自公に代わる政権の枠組みはいまだ見えない。
「自民党、公明党が過半数割れすれば、日本の政治は劇的に変化する。失われた30年を取り戻すには政権交代しかない」。立民の野田佳彦代表は24日、横浜市で街頭演説し、政権交代の必要性を訴えた。
野田氏は自民との大連立を否定し、「非自民連立政権」を目指している。野党各党は自民派閥裏金事件を踏まえ、実態解明を迫ることなどでは足並みをそろえるが、新たな政権の枠組みでは同床異夢の感は否めない。
日本維新の会は衆院選で、立民からの「野党第1党」奪取を掲げ、大阪での行財政改革の実績を訴える。立民との連立については憲法などで主張に隔たりがあるとして「一緒に組んで何かをやることは相当可能性が低い」(藤田文武幹事長)と否定的だ。
立民が連立相手ともくろむ国民民主党でさえ、消費税減税など手取りを増やす政策の実現を訴え、減税に後ろ向きな立民との違いを際立たせている。共産党は野田氏が連立を否定していることなどから衆院選の共闘を断念。田村智子委員長は「(衆院選で)互いに競い合う」と語る。
立民執行部が維新や国民の求める政策協議を後回しにしたことも、自公に代わる枠組みが見えてこない理由の一つと言える。
野党内には、与野党を巻き込んだ大規模な政界再編を予測する声もある。野田氏は22日のBSフジ番組で「(自公が過半数割れすれば)自民が割れる可能性がある。公明も(自民から)離反する可能性が出てくる」と述べ、政界再編の可能性に言及した。
このため野党各党には、政権の枠組みをあらかじめ明確にしない方が、キャスチングボートを握れるのではとの思惑もある。国民の玉木雄一郎代表は「この選挙の後、日本の政治は大きく流動化する」との見通しを示し、「まともな政策を持った政治集団が中心にならないと政治はよくならない」と訴えている。
[時事通信社]
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