遅れるジェンダー平等=選択的別姓に自・維慎重―各党公約・ジェンダー【24衆院選】
各国の男女平等度を示す世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数(2024年版)で日本は146カ国中118位。韓国や中国よりも下位で、依然「後進国」から抜け出せない。政治・経済分野の女性参画が遅れていることが原因だ。各党は衆院選公約に女性の所得向上、選択的夫婦別姓導入など多様な政策を並べるが、本気度とスピード感のある取り組みが求められる。
◇女性最多も目標届かず
衆院選の女性候補者は過去最多の314人で、初めて全候補者の2割を超えた。だが、18年に成立した「政治分野における男女共同参画推進法」が目指す男女の候補者均等を達成した党はなく、「25年までに35%」の政府目標にも程遠い。
自民、公明両党は公約に自党の女性国会議員割合を3割に引き上げる数値目標を明記。立憲民主、共産など野党5党も候補者の一定割合を女性とする「クオータ制」導入を盛り込んだ。
◇別姓、首相は持論封印
争点となる選択的夫婦別姓を巡っては、1996年に法制審議会(法相の諮問機関)が導入を答申し、国連の女性差別撤廃委員会も繰り返し法改正を勧告。しかし伝統的家族観を重視する自民内の保守派に慎重論が根強く、たなざらしにされてきた。今年6月には経団連が早期導入を政府に提言するなど、経済界や若い世代から実現を求める声は強まっている。
導入賛成は立民、公明、共産、国民民主、れいわ新選組、社民の6党。自民は石破茂首相が先の総裁選で「選択的に姓を選べるというのはあるべきだ」と前向きな姿勢を示したものの、就任後は持論を封印。公約では「社会的意義や運用上の課題を整理しつつ、どのような形がふさわしいかを含め合意形成に努める」と曖昧な表現にとどめた。日本維新の会は旧姓使用に法的効力を与える制度創設、参政党は導入反対を掲げる。
◇賃金格差是正を
経済面では、多くの政党が男女賃金格差是正の重要性を共有する。日本の女性の賃金は男性の7割程度にとどまり、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の約88%(21年)を下回る。特に地方の賃金格差は若い女性の流出につながり、少子化の遠因になるとも指摘され、対応が急がれる。
自民は勤務時間を抑制する「年収の壁」を見直すと表明。公明は男性育休の推進、立民は正規雇用化、維新は女性役員比率などに応じた減税を主張し、共産は「労働時間短縮をジェンダー平等実現の柱に位置付け推進する」と訴える。
LGBTなど性的少数者の権利保障では、自民は昨年6月に成立した理解増進法に基づき社会生活上の困難軽減を図る立場。一方、立民、共産、れいわ、社民は「差別解消法」などさらなる法整備を目指す。同性婚には立民、公明、維新など6党が前向きだ。
[時事通信社]
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