2024-10-22 18:21経済

個人マネー獲得へ株主優待=地下鉄乗り放題に宿泊招待券―新NISA受け、企業アピール

企業の株主優待導入例
企業の株主優待導入例

 個人投資家の資金を呼び込もうと、株主優待制度を充実させる企業が増えている。新しい少額投資非課税制度(NISA)をきっかけに、個人株主の市場参加が拡大。自社株式を長期保有する安定株主になってもらうため、地下鉄乗り放題や宿泊券など、各社は知恵を絞っている。
 商品券などを株数に応じて贈呈する株主優待は個人の人気が高い半面、機関投資家らにとっては利用に困る。株主間で公平性を欠くため、近年は優待を廃止して増配や自社株買いで株主へ還元する流れが定着してきた。
 こうした中、新NISAが今年1月に始まり、個人株主が増加。一方、東証が上場企業に資本効率向上を要請したことなどを背景に、企業同士の株式持ち合いの解消が進んで市場で取引される株数が膨らんだことにより、安定株主として個人を取り込む動きが出ている。
 東証プライム市場へ23日に上場し、約6年ぶりの大型案件として注目される東京地下鉄(東京メトロ)は、1万株以上の株主に全線定期券を発行する。主要駅で展開するそば屋でのかき揚げ無料券などもそろえた。担当者は「中長期的な安定株主となる個人に保有を促したい」と強調する。
 東証による上場維持基準の厳格化に伴い、帝国ホテルは、流通株式比率が約3年で10%以上、株主数も約3倍に増加した。同社は3月に株主優待を始め、個人投資家への取り組みを強化。1万株以上の株主には東京と大阪の帝国ホテルの1泊宿泊招待券を贈呈する。
 楽天銀行も3月、優待制度を始動。株主は同行に口座を開設すると、預金金利上乗せなどの特典を得られる。給与受け取りなどのメイン口座にするとさらなる優遇がある。担当者は「収益力の高いメイン口座の拡大も狙いの一つ」と説明。優待制度を株主還元だけに終わらせず、収益拡大につなげようとしている。 

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