情熱傾け後進育成=信念貫いた塚原千恵子さん―体操
亡くなった塚原千恵子さんは、1968年メキシコ五輪で体操女子団体総合4位入賞に貢献したトップ選手だった。だが、膝のけがで現役引退。競技生活を不本意な形で終えた無念さが、20人以上のオリンピアンを育てる情熱につながった。
ともに教育関係の仕事に就いていた両親に育てられ、人を教えることは天職と言えた。夫で五輪金メダリストの光男さんという「戦友」にも恵まれ、夢中で指導に当たった。「練習でできないことは試合でもできない」が持論。練習中は選手の動きに目を光らせ、厳しい言葉を飛ばした。
指導者に転身して程なく、女子日本代表の強化に関わるようになった。監督を務めた2008年北京、12年ロンドン両五輪では団体決勝進出に導いた。息子で、04年アテネ五輪男子団体総合金メダリストの直也さんは指導者となり、改めて母の偉大さを知ったという。「長い間やるのは、すごく情熱がないとできない。念力みたいなもので選手をつくっていく。僕にはできない」と脱帽した。
「ダメなら責任を取る」「言わなきゃと思ったことを言わなかったことはない」。信念を貫く強さがあった。18年のパワーハラスメント問題では、パワハラは認定されなかったが不適切な発言があったと指摘され、代表強化からも離れることに。歯に衣(きぬ)着せぬ言葉は時にあつれきも生んだが、日本女子を強くしたいといちずに思い続けた指導者人生だった。
[時事通信社]
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