世界経済の下振れリスク点検=中国減速、米政治混迷に懸念―23日からG20財務相会議
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が23、24両日、米ワシントンで開かれる。減速が懸念される米欧や中国経済の行方、長引くウクライナ戦争や中東情勢の一段の深刻化など、世界経済の下振れリスクや政策対応を議論する。特に来月5日の米大統領選が混迷を深める中、選挙結果が与える影響に大きな関心が集まりそうだ。
日本からは、加藤勝信財務相が就任後初めて参加する。植田和男日銀総裁も出席する見通し。ワシントンでは国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会も開催され、先進7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議も行われる見込みだ。
世界経済は、コロナ禍後の高インフレが落ち着きつつあることを背景に全体として底堅さを見せている。だが、今後の成長持続には9月に利下げに転じた米国が景気のハードランディング(急失速)を回避できるかが最大の焦点。中国や欧州では減速が鮮明化しており、前回7月のG20会議以降の不確実性の高まりを各国・地域がどう評価するかが注目される。
米大統領選では、選挙結果を巡る混乱が危惧されるほか、仮にトランプ前大統領が返り咲けば米国が再び自国第一主義的な経済・外交政策を強める事態が想定されるなど、米政治の不透明さが不安材料となっている。会議では、参加国間の一段の分断回避に向けた姿勢が問われそうだ。国際開発金融機関(MDBs)改革や低所得国の過剰債務問題、国際課税での進展も課題となる。
一方、日銀の植田総裁は18日、東京都内での会合に寄せたあいさつで「米国をはじめとする海外経済の先行きは引き続き不透明だ」と指摘した。G20やG7での議論を通じ、再度の利上げ判断に向け海外情勢を慎重に見極める構えとみられる。
[時事通信社]
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