特捜部取り調べ映像提出へ=17時間分、最高裁が命令―プレサンス元社長の訴訟
土地取引を巡る横領事件で無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍元社長(61)が、国に損害賠償を求めた訴訟について、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は16日付で、大阪地検特捜部の取り調べ録画映像の提出を約50分間分にとどめた大阪高裁決定を破棄し、約17時間50分のデータを提出するよう国に命じる決定をした。
草野裁判長は決定で、提出を拒否した国の判断について「裁量権の範囲を逸脱、乱用するものだ」と指摘した。
争われたのは田渕大輔検事が山岸氏の当時の部下に行った取り調べ映像の提出可否。同氏側は田渕検事が机をたたいたり、大声で怒鳴ったりしている様子が映っており、問題のある言動の結果、部下が虚偽の供述をさせられたと訴えている。
決定で、草野裁判長は取り調べでのやりとりを記した書面などと比べ、映像は格段に多くの情報を含むとし、「必要性の程度は高いとみるのが相当だ」と結論付けた。部下のプライバシー侵害の恐れは認められないとの考えも示した。
弁護団は決定を受けて大阪市内で記者会見し「画期的だ」と評価。山岸氏は「最高裁に正しいご判断を頂けてうれしく思う。今後二度とこのようなことが起こらないようにしてほしい」とのコメントを出した。
大阪地裁は2023年9月、約17時間50分の映像を提出するよう命令。大阪高裁が今年1月、提出の範囲を大幅に短縮して約50分間分にとどめる決定をし、山岸氏側が特別抗告していた。
[時事通信社]
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