イスラエル、防空に「穴」=迎撃網擦り抜けるドローン
【カイロ時事】「無人機(ドローン)攻撃対策に多大な労力を注いでいる」。イスラエルのガラント国防相は14日、ドローン攻撃を受けた北部の軍訓練施設を訪問し、そう強調した。ロケット弾などを9割以上撃ち落とす防空システムを擁するイスラエル。しかし、その迎撃網の「穴」を擦り抜けるドローン攻撃が脅威となっている。
イスラエル北部ビンヤミナ付近の訓練基地にドローン攻撃があったのは13日。夕食時の食堂に直撃し兵士4人が死亡、約60人が負傷した。
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが攻撃を実施した。被害拡大を狙い、時間と場所を考慮して計画を練ったことがうかがえる。
報道によると、ヒズボラはドローン2機を発射。イスラエル軍は海上で1機を迎撃したが、残る1機は追跡し切れず、飛来を知らせるサイレンも鳴らなかった。
中部ヘルツェリアでも11日、ヒズボラのドローンで建物が被害を受けた。7月には、イエメンの親イラン武装組織フーシ派のドローンがイスラエルの商都テルアビブに着弾し、1人が死亡。いずれもドローン2機が発射され、1機は撃ち漏らした。親イラン組織の間で、防空システムを回避する「ノウハウ」が共有されている可能性もある。
イスラエル国家安全保障研究所のオルナ・ミズラヒ上級研究員は米CNNテレビに「ドローンは小型で軽量のため、レーダーで探知されにくい」と解説する。飛行経路を自在に操作できるドローンは、弧を描くロケット弾と比べると迎撃が難しいとされる。
ヒズボラのナンバー2、カセム師は15日のビデオ演説で、イスラエルに痛みを与える「新たな方式」を導入したと述べ、「われわれのドローンはどこへでも飛んでいく」と警告した。
国防省が産業界に協力を仰ぎ、ドローン対策を急いでいる。パレスチナのイスラム組織ハマスやヒズボラとの戦闘が「消耗戦」の様相を呈する中、迎撃ミサイルの不足も指摘されている。
[時事通信社]
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