京浜に半導体研究機関を=産学で人材育成―井上横浜国大准教授
半導体を最終製品に組み立てる「後工程」分野の技術を研究している、横浜国立大の井上史大准教授(38)は9日までにインタビューに応じた。井上氏は「(日本の)半導体産業が勢いを取り戻すためには、企業中心の技術革新が必要だ」と述べ、京浜地区で産学連携の研究機関を立ち上げるべきだと訴えた。地場メーカーや大企業、大学などに広く門戸を開き、重要性が増す後工程分野の人材育成や研究開発を共同で推進したい考えだ。
横浜市周辺には半導体素材など関連メーカーや、韓国サムスン電子など大手の拠点が多くある。井上氏は「個社の取り組みでは限界がある」として、革新的なアイデアや技術を創出するためには多くの企業が参画する組織が必要と強調した。
また自身が副センター長を務める横浜国大の「半導体・量子集積エレクトロニクス研究センター」を活用しつつ、「後工程分野で、『日本版imec(アイメック)』のような組織をつくりたい」と抱負を語った。回路の微細化に限界が指摘される中、複数の半導体チップを組み合わせる「チップレット」など後工程技術が今後重要になるという。
アイメックはベルギーに設立された、世界中の企業や大学から研究者が集まる非営利の研究機関。オランダ半導体製造装置メーカーASMLと共同研究を重ね、半導体回路の微細化に不可欠な極端紫外線(EUV)露光技術に強みを持つことで知られる。井上氏は学生時代も含めて約10年アイメックで研究に携わった。
かつてお家芸と言われながら、衰退していった日本の半導体産業について、井上氏は「材料や装置メーカーも含めれば、供給網全体でのプレゼンスはまだ高い」と分析した。北海道で先端半導体の国産化を目指すラピダス(東京)のほか、熊本に進出した台湾積体電路製造(TSMC)も、地元大学や企業との連携を強化している。
[時事通信社]
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