「人質司法は冤罪の温床」=人権団体が指摘―大川原化工機、袴田さんも
一貫して無罪を主張してきたKADOKAWA元会長の角川歴彦被告(81)は、罪を認めなければ保釈されない「人質司法」を巡って訴訟を起こしている。人質司法は、起訴取り消しとなった機械メーカー「大川原化工機」や、1966年の静岡4人殺害事件で再審無罪が言い渡された袴田巌さん(88)などのケースでも指摘され、人権団体は「冤罪(えんざい)の温床だ」と訴える。
冤罪被害者を支援する「イノセンス・プロジェクト・ジャパン」によると、戦後に再審無罪が確定した26事件のうち22事件では当初、虚偽の自白を基に有罪とされた。逮捕後に黙秘や否認をしていると保釈が認められにくい上、弁護人以外とのやりとりが禁じられる「接見禁止」の制度などが自白を迫られる構造的な要因だという。
最近では、2020年に不正輸出容疑で社長ら3人が逮捕され、翌21年に起訴が取り消された大川原化工機を巡って問題視された。3人は一貫して無罪を主張。元顧問の男性=当時(72)=は勾留中に胃がんが判明し、起訴取り消し前に死亡した。
袴田さんの再審判決では、静岡地裁が自白の強要に言及した。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」の土井香苗・日本代表は、人質司法について「(袴田さんの逮捕から)58年たった今も変わらず続いている問題だ」と指摘。「長時間にわたる過酷な取り調べで自白を強要する状況が変わらない限り、冤罪は続く」と警鐘を鳴らした。
[時事通信社]
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