自民裏金議員、原則公認へ=比例順位で差も、調整続く―野党批判「言行不一致」
石破茂首相は4日、自民党の派閥裏金事件に関与した議員らを次期衆院選で原則公認する方向で調整に入った。ただ、何らかのペナルティーは必要との意見も消えておらず、9日の衆院解散に向け調整を続ける。総裁選で厳しい対応を示唆した首相に対し、野党は批判を強めた。
首相は4日、首相官邸で記者団から裏金事件で党の処分を受けた議員への対応について問われ、「何も決まっていない」と述べるにとどめた。
自民内では27日投開票予定の衆院選を目前に、非公認とすれば地方組織などが混乱するとの懸念が強い。森山裕幹事長は党本部で記者団に「選挙は当選第一主義だ。政治資金問題は党で調査し処分も下してきた」と強調。7日までに行われる各都道府県連からの公認申請に基づき、「裏金議員」も公認する考えを示唆した。
一方、執行部ではなお厳しい世論の理解を得るため、「裏金議員」に比例代表との重複立候補を認めない案や、比例代表名簿の順位を下位とする案を検討中。1年間の党員資格停止処分を受けた下村博文元政調会長、西村康稔元経済産業相は公認されない見通しだ。
ただ、裏金事件の震源地となった旧安倍派の閣僚経験者が2日、森山氏に比例代表でこうした対応を取らないよう要請。党幹部の一人も「やり過ぎればたちまち火が上がる」と否定的だ。首相は6日にも旧安倍派幹部を聴取する方針で、森山氏らは5日以降も協議を続け、9日までに最終判断する。
総裁選で首相は当初、「裏金議員」の公認を「厳正に判断」するとして非公認に含みを持たせていたが、1日の就任会見では「選挙区でどれぐらい支持をもらっているのか把握し、決定したい」と発言を後退させた。政府関係者は「首相が掲げた『国民の納得と共感』とは真逆の判断だ」と冷ややかに語る。
立憲民主党の野田佳彦代表は4日、記者団に「見事な言行不一致だ。政治に対する信頼を本当に失墜させる。残念だ」と厳しく批判。「公明党は裏金議員が公認されたら、(衆院選で)推薦するのだろうか。よく見極めたい」と与党の一角を占める公明の対応にもくぎを刺した。
共産党の田村智子委員長は記者会見で、首相が表明した27日投開票の日程に触れ「(裏金議員を)公認しなければ間に合うわけがない。幕引きを狙っていたとしか言いようがない」と断じた。
[時事通信社]
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