中国、輸入再開は「科学」重視=処理水で論調に変化―日中合意1週間
【北京時事】東京電力福島第1原発の処理水放出を巡り、日中両国政府が中国による日本産水産物の輸入再開方針で合意してから27日で1週間。中国は「条件付き」と説明しており、禁輸の早期撤廃につながるかは不透明だ。ただ、中国では問題の解決に向け「科学」を重視すべきだとの論調が目立ち始めている。
合意文書が発表された20日、中国外務省の報道官は記者会見で「中国は科学に基づき日本との対話を進める」と強調した。「日本は国際社会の被告席に座ることになる」と批判一辺倒だった昨年8月の放出に際しての発言とは明らかに異なるトーンだ。
中国は、合意について日本に譲歩させた結果だとの立場で、「外交の大勝利だ」(専門家)といった主張が国営メディアなどに相次いで掲載された。SNSではまだ、「日本産は食べない」といった声が目立つものの、「政府を支持する」といったコメントも多く投稿されている。北京のメディア関係者は「当局が世論誘導を強化している」との見方を示す。
合意が明らかになる直前の19日には、共産党機関紙、人民日報系列の環球時報が「海洋放出には反対だが、理性的、科学的な態度でこの問題を扱わなければならない」との記事を掲載。その中で、国際社会で中国に同調する国が増えなかったことに無念さもにじませていた。
日本政府関係者は「交渉は続いており、今後どうなるかは分からない。ただ、一歩を踏み出したのは間違いない」と話している。
[時事通信社]
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