軍内引き締め狙いか=李昊・東京大大学院法学政治学研究科准教授―中国ICBM・識者談話
李昊・東京大大学院法学政治学研究科准教授(現代中国政治)の話 中国軍による大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射は、長距離を飛ぶものであることからも、明らかに米国へのメッセージだ。一方で、最近の中国軍の活発な活動は、軍内部の引き締めを狙っている可能性もある。
中国軍では、魏鳳和元国防相、李尚福前国防相が相次いで失脚し、今回ICBMを発射したロケット軍内を中心に、多くの幹部が汚職疑惑で摘発されるなど不祥事が続いている。「中国軍はガタガタだ」と甘く見られることへの危機感を習近平指導部は抱いている。汚職摘発のみならず、訓練強化や実戦的活動を通じて軍内の統制を整え、中国軍は「戦える」軍隊なのだと国内外にアピールする必要がある。
中国軍は現在、米軍との司令官対話などで意思疎通を続けており、一方で威圧的行動を取ることは矛盾したシグナルに見える。ただ、「右手で握手し、左手で殴る」というバランスの取り方は中国の常とう手段で、これ自体に不自然さはない。軍事力強化は習政権の長期的方針であり、今後も活発な動きが続く可能性が高い。
[時事通信社]
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