野村証、順法意識の低さ露呈=市場の信頼、揺らぐ恐れ―相場操縦
国内証券最大手の野村証券が、国債先物取引で相場操縦を行ったとして金融商品取引法違反に問われる事態となった。過去に問題となった手口による不正で、同社の法令順守意識の低さがあらわになった。一般投資家を裏切る行為で、金融市場への信頼も揺らぎかねない。
「市場の公正性確保に努めるべき立場の証券会社による重大な違反行為だ」。証券取引等監視委員会の幹部は野村証券を厳しく批判した。国債先物取引を巡っては、2018年以降、三菱UFJモルガン・スタンレー証券などが不正を犯し、金融庁の処分を受けた。いずれも実際には売買する意思がないのに大量の注文を出す「見せ玉」という手口で、今回も繰り返された。
野村証券は、不正な取引を防げなかった内部管理体制の在り方も問われる。同社は25日、監視委勧告を受けてコメントを発表。「顧客や関係者に多大なるご迷惑とご心配をおかけし、おわび申し上げる」と陳謝した上で、法令順守体制の強化と再発防止に取り組む考えを示した。
今回の不正により株式市場への信頼低下も懸念される。新しい少額投資非課税制度(NISA)が今年1月に始まり、資産形成を目指して長期投資に取り組む若年層が増えているだけに、こうした機運に水を差す恐れがある。
政府が進める資産運用立国の理念は、「企業が投資を受けて収益力向上に取り組み、それが一段と投資を活性化させる好循環を実現すること」(資産運用会社)とされる。その基礎は公正な市場で、担い手である証券会社の責任は重い。
[時事通信社]
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