反日投稿放置、真相明かされず=男児刺殺事件から1週間―中国・深セン
【深セン時事】中国南部・広東省深セン市で登校中の日本人男子児童(10)が刃物で刺され死亡した事件は、25日で発生から1週間となった。容疑者の男(44)は現場で身柄を拘束されたが、日本人を狙ったかなど事件の真相や動機は明らかになっていない。中国の反日教育が背景にあるとも指摘される中、反日的なSNS投稿は放置されており、日本側は取り締まりの徹底を求めている。
「根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿は、子供たちの安全に直結し、絶対に容認できない」。上川陽子外相は23日(日本時間24日)、訪問先の米ニューヨークで中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談し、早急な取り締まりを強く要求した。柘植芳文外務副大臣も、北京で中国外務省の孫衛東次官に「反日的なSNSの言論は、非常に大きな問題だ」と訴えた。
中国のSNSでは日本人への差別的な投稿や、日本人学校を「スパイ養成機関」などとするデマが放置されてきた。地方政府幹部が事件後、対話アプリ「微信(ウィーチャット)」で、「われわれの規律は日本人を殺すことだ」などとヘイト発言を行ったことも明るみに出た。こうしたSNSでの論調が、日本人襲撃事件を誘発したとの見方も根強い。
中国側は事件について「偶発的な個別事案」と主張。外務省の林剣副報道局長は「一部の日本人が事件と中国のSNS上のいわゆる反日的な投稿を結び付け、安全に関するリスクを誇張している。こうした主張は明らかに事実と一致しない」と述べ、事件の「政治化」を避けるよう日本に求めている。
地元紙などによると、男児は18日午前7時55分(日本時間同8時55分)ごろ、保護者と一緒に徒歩で登校中、日本人学校の校門から約200メートル離れた場所で、男に刃物で腹部を刺された。病院に搬送され、救急治療を受けたが、19日未明に死亡した。単独の犯行で、男は容疑を認めている。定職に就いておらず、過去に騒ぎを起こし当局に拘束されたことがある。
[時事通信社]
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