イスラエルの攻撃に懸念相次ぐ=EU外相「全面戦争の瀬戸際」
【エルサレム時事】イスラエルによるレバノン大規模空爆を受け、情勢緊迫化を懸念する国際機関や中東各国の声が強まっている。欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)は23日、訪問先の米ニューヨークで「われわれは全面戦争の瀬戸際にいる」と述べ、中東全体を巻き込む戦闘に拡大しかねないと警鐘を鳴らした。
国連当局者は23日、レバノンで多数の民間人が死亡した事態に関し「グテレス事務総長は情勢悪化を深刻に恐れている」と表明した。フランスのバロ外相は、国連安保理の緊急会合を今週中に開催するよう要請。「誰にとっても破滅的結果をもたらす紛争の回避」を全当事者に呼び掛けた。
中東諸国からも懸念が相次いでいる。イラクのスダニ首相は23日、イスラエルの空爆を「犯罪行為」と糾弾。国連総会に合わせ、アラブ諸国による会合開催を提案した。
トルコ外務省は「イスラエルのレバノン攻撃は、地域全体を混乱に陥れようとする新たな段階へと移っている」と批判。その上で「国連安保理をはじめ国際的な平和や安全を維持する責務を有する全機関が、遅滞なく必要な措置を講じることが不可欠だ」と訴えた。
パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとイスラエルの停戦交渉を仲介するエジプトの外務省も、「イスラエルによる危険なエスカレーション」を食い止めるため、国連安保理などが即時行動すべきだと主張した。情勢緊迫のきっかけとなったガザでの事態沈静化に向け、停戦への努力を継続するとも表明した。
[時事通信社]
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