大の里、課題は対応力=いまだ伸びしろ十分―大相撲・駆け上がる大器(上)
大相撲に大関大の里が誕生する。初土俵から史上最速となる所要9場所で看板力士の座を確実にした24歳の大器。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)に並ぶ最高位を目指す上で、さらに必要なものとは。番付の権威が問われる中、背負う期待についても考察する。
◇求められる冷静さ
大の里の代名詞と言えば、圧倒的な馬力。立ち合いから一気に攻め切る時の盤石ぶりは、誰もが認める。朝日山親方(元関脇琴錦)は「相手は一発の当たりで上体が起こされて、差されておっつけられる。逃げようがない」と高く評価する。
課題は自分の形に持ち込めなかった時にどうするかだ。秀ノ山親方(元大関琴奨菊)は「悪い時は半身になる」と指摘。劣勢で強引に得意の右を差そうとし、体勢が崩れる点を戒める。
7月の名古屋場所では、右を差せないとすぐに引いて敗れる相撲も目立った。挑戦を受ける立場となる今後は、周囲もより対策を練ってくるはず。不利な状況になっても、浮足立たずに対応する冷静さが求められる。
「相手に厳しい相撲を取られると、隙が生まれる。脇の甘さを突かれる」と説明したのは武隈親方(元大関豪栄道)。秋場所12日目の若隆景戦は追い込んだ土俵際でもろ差しを許し、体が浮いたところで逆転された。192センチの長身。脚も長く、もともと腰高な体つきだ。低い姿勢で攻められた時の対処法も、ポイントになると言える。
師匠の二所ノ関親方は「まずは6場所を戦い抜く体力」と、技術よりも土台づくりを重視して指導してきた。「相撲の基本である腰も割れてない。まだ始まったばかり」。厳しい評価は、裏を返せば伸びしろが十分ということ。地道に稽古を重ねていけば、おのずと一つ上の地位も見えてくる。
[時事通信社]
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