極右AfD、顕著な伸び=二大政党脅かす存在感―独東部3州議選
【ベルリン時事】来年のドイツ総選挙を占う東部3州の州議会議員選挙の結果が22日、出そろった。いずれの州でも反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の得票の伸びが顕著で、1日のテューリンゲン州議選では初めて州レベルの第1党を得た。他2州でも、キリスト教民主同盟(CDU)と社会民主党(SPD)が、それぞれ1ポイント台の僅差でかわしたものの、AfDが二大政党を脅かす存在感を示した。
AfDは、反民主的勢力との近さが指摘され、公安当局の監視下に置かれている。そうした中でも、得票率は3州いずれも30%前後で、過去最高を記録。歴代政権の寛容な難民政策や、東西統一後も残る経済格差などに対する不満の受け皿となった。
一方、州議選で連敗続きだったショルツ首相率いるSPDは、22日のブランデンブルク州議選で第1党を死守。市民に不人気な首相を表に出さない選挙戦略が奏功した。ショルツ氏は続投に意欲を示しているが、党内には、11月の米大統領選の候補がバイデン大統領からハリス副大統領に代わった途端に民主党の人気が高まった「ハリス効果」を待望する声もある。
CDUは1日のザクセン州議選で勝利した余勢を駆って、姉妹政党キリスト教社会同盟(CSU)との間で、「選挙の顔」として総選挙を戦う首相候補にメルツ党首を担ぐことで早々と合意した。CDU・CSUは世論調査で首位を走るが、万全ではない。メルツ氏も人気は乏しく、ブランデンブルク州議選ではCDUは4番手に沈んだ。
AfD以上に票を伸ばしたのは、1月に設立された新党BSWだ。旧東ドイツの独裁政党の流れをくむ左派党を離党した知名度の高い政治家ザーラ・ワーゲンクネヒト氏が立ち上げた。ウクライナに侵攻を続けるロシアに融和的な主張を展開。3州いずれも得票率は2桁に達し、連立政権入りする可能性がある。来年9月の連邦議会選では、AfDとともに台風の目となりそうだ。
SPDと国政で連立を組む緑の党と産業界寄りの自由民主党(FDP)は、3州で敗北。特に一つも議席を取れなかったFDPは、左派連立内で埋没する危機感が高まっており、党内で政権離脱を求める声が大きくなっている。
[時事通信社]
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