韓国・尹政権「原発推進」にかじ=輸出注力、8年ぶり新設許可
【ソウル時事】韓国の尹錫悦政権は「原発産業の活性化」を目指した動きを加速させている。文在寅前政権の「脱原発」政策を転換し、2030年までに原発10基を輸出する目標を設定。尹大統領が海外に出向き、売り込みに力を注ぐ。国内では、前政権が中止していた原発新設計画にゴーサインを出した。
「韓国とチェコが共に建てる原発として、両国の経済成長に寄与する互恵的なプロジェクトになる」。チェコを訪問した尹氏は19日、同国のパベル大統領との会談で、こうアピールした。原発を運営する韓国水力原子力が7月、チェコの原発新設事業で優先交渉権を得ており、尹氏は最終契約に向け「セールス外交」(韓国大統領府)を展開。パベル氏も「韓国企業の最終契約に楽観的だ」と応じた。
韓国の原発輸出は、実現すれば09年のアラブ首長国連邦(UAE)以来となる。2基の新設で総事業費は約24兆ウォン(約2兆5900億円)と見込み、25年3月ごろまでの最終契約を目指す。欧州各国ではロシアのウクライナ侵攻以降、エネルギーの対ロシア依存を低下させるため、原発回帰が進む。尹政権はチェコへの原発輸出を「欧州市場進出の足掛かり」にしたい考えだ。
一方、尹政権は国内でも積極的に原発の活用を進めている。韓国原子力安全委員会は今月12日、日本海に面する東部・蔚珍のハヌル原子力発電所の新3号機と新4号機の建設を許可。新規原発の建設許可は16年以来8年ぶりだ。この新設計画は文前政権が17年に中止し、「脱原発」の象徴と見なされていた。大統領府高官は計画再開について「原発産業が再び跳躍する契機となる」と強調する。
尹政権は、現在26基の全国の原発を38年には30基に増やし、電力に占める原子力の比率を現在の約30%から同年に35.6%に引き上げる方針。人工知能(AI)普及によるデータセンター新設などで高まる電力需要に応え、二酸化炭素の排出量削減にも役立てる狙いだ。
[時事通信社]
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