貴景勝、武将のように=「名に恥じぬ」努力貫徹―大相撲
名門の埼玉栄高で実績を残し、意気揚々と入門。だが、本名の「佐藤」で初土俵を踏んだ貴景勝は早々に自信を失った。新弟子当時の身長は173センチ。幕内力士の巨体に圧倒された。栃ノ心の太ももや碧山の太い腕を目の当たりにし、「このままじゃ駄目だ」。ひたむきに努力する覚悟を決めた。
信奉する貴乃花親方の下で猛稽古を積み、2017年初場所で新入幕。その師匠が尊敬する戦国武将、上杉謙信の後継者となった上杉景勝にちなんで、しこ名を貴景勝に改めた。「師匠の意志を引き継ぐ。この名に恥じないように」と誓った。
西前頭筆頭で臨んだ17年名古屋場所で5勝10敗とはね返された。初めての上位戦で歯が立たず、「このままでは俺は終わってしまうかもしれない」。大好きだった甘い物を断った。トレーナーと相談し、場所の初日から逆算して食事メニューを決めた。より自分に厳しくなった。
大関昇進後は膝や首の度重なるけがに苦しんだが、「つらい経験が自分を強くしてくれる」と信じて稽古に励んだ。張られたら、張り返す負けん気の強さの一方、「受けた恩を必ず返す、男らしい人間でありたい」。気力を振り絞り、大関を30場所務めた。
貴乃花親方は18年に突然、相撲協会を退職。兄弟子の貴ノ岩も暴行問題で角界を去った。翼をもがれるような思いもあっただろう。自身を取り巻く環境が大きく変わっても、「いろいろな経験をさせてもらった」と感謝の念を忘れない。こういった真摯(しんし)な取り組み方が、恵まれない体格をカバーする原動力。28歳の早い引退で、その姿をもう見られないことには寂しさが残る。
[時事通信社]
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