水不足深刻なガザ 太陽光で海水を飲み水に変える技術者
【ハンユニスAFP=時事】戦火に見舞われたパレスチナ自治区ガザ地区では、水一滴一滴が貴重だ。農業技術者のイナス・グールさん(50)が作った間に合わせのソーラー式浄水器は、終わりのない爆撃と灼熱(しゃくねつ)の中で生き延びるパレスチナ人にとって重要な財産となっている。≪写真は、ガザ地区中部デイルアルバラフにある避難民のための仮設キャンプで、容器に水を入れる人≫
グールさんは、ガザに届いた援助物資が載っていた木製の台と、約11か月に及ぶ戦争で打ち捨てられた建物から回収した窓ガラスを使って、上面がガラス張りの水槽を作った。
水槽に入れた海水はガラス板が作り出す温室効果で温められ、蒸発する。このようにして水を蒸留し、塩と分離する。
蒸留水は長く黒いホースを通って活性炭が入った別の容器に運ばれ、不純物がさらに除去される。
「これは非常にシンプルな装置で、使いやすく、作りやすい」。グールさんはガザ地区南部のハンユニスにある自宅でろ過された水を飲み、AFPに語った。
グールさんが作った装置は「電気やフィルター、ソーラーパネルを必要とせず、太陽エネルギーだけで動作する」。ガザは、1日の日照時間が夏は14時間、冬は8時間と、太陽エネルギーが豊富だ。
ガザ唯一の発電所が停止し、イスラエルからの電力供給が途絶えて数か月たつ今、この装置の有用性が際立っている。
国際NGOオックスファムは7月、ガザ地区の人々が1日に利用できる水量は平均4.74リットルで、「緊急時に推奨される最低水量の3分の1以下」だと報告した。
これは「トイレを1回流す水量よりも少ない」とオックスファムは警告。報告書は、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって以来、ガザ地区で1人が1日に利用できる水は94%減少したと推定している。【翻訳編集AFPBBNews】
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