「ほっとした」「重い処罰を」=遺族、桂田容疑者逮捕受け―知床観光船事故
知床観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故で、運航会社社長の桂田精一容疑者(61)が18日、業務上過失致死容疑などで逮捕された。突然の悲劇から2年5カ月。遺族は「ほっとした」「重い処罰を」などと心情を明かした。
事故で行方不明となった小柳宝大さん=当時(34)=の父親(65)は「捜査機関からはずっと音沙汰がなかったから本当にほっとした」と安堵(あんど)した様子。検察からは捜査協力への依頼があったといい、「これからが始まりだ」と力強く語った。
桂田容疑者に関しては「真摯(しんし)に、素直に反省してほしい」と要望。「自分のどういうところが悪かったか振り返って、心から謝ってほしい」と訴えた。
元妻=同(42)=と息子=同(7)=が今も行方不明となっている道内の男性(52)も取材に応じた。2人の写真に向かって「捕まったよ」と報告したという。「事故要因は安全に対する意識の低さだ」と怒りをあらわにした上で、桂田容疑者については「罪を認めて責任を取ってほしい」と話した。
北海道旅行中に事故に遭った※(※=木ヘンに勝の旧字体)島優さん=同(34)=の両親は弁護士を通じて文書を配布。「やっとスタート地点に立てたが、これから本番が始まると思うと気が重い」と複雑な心情を吐露し、「容疑者は潔く自分の罪を認め、できる限り重い処罰が下されることを望む」と続けた。文書の最後には「一日でも早く、息子を感じながら家族全員で前に進みたい」との希望をつづった。
同様に事故で犠牲になった北海道北見市の鈴木智也さん=同(22)=の遺族も弁護士を通じコメントを発表。「まだ気持ちの整理がついていない」とした上で「なんとか一歩前進したかなという思いだ」とした。
事故で亡くなった佐賀県有田町の岩永健介さん=同(74)=と地元商工会で約30年の親交があった山中敏さん(75)は「時間はかかったが、一つ前に進めてよかった」と話した。岩永さんと共に事故に遭った商工会仲間の男性は見つかっていないといい、山中さんは「行方不明者はまだ6人いる。早く見つけてほしい」と訴えた。
[時事通信社]
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