大橋、笑顔で別れ=「頑張ったな」―競泳
決勝の場内アナウンスを背に、大橋は満面の笑みを浮かべ、スタンドに手を振った。愛情を込めて「田舎」と表現する地元滋賀県の代表として迎えた引退レース。「世界でメダルを取ってからレースを楽しむということができなかった。(最後くらい)心の底から楽しもう」。そう誓って飛び込んだ。
2番手に上がった後に迎えた平泳ぎで一時トップに立ち、見せ場をつくった。最後は力及ばず2位でゴール。「勝って終わりたかった」という思いもあったが、「頑張ったな」と受け入れた。
プールから上がると、我慢していた思いが涙になってあふれた。東京五輪覇者の重圧と闘った3年間が脳裏に浮かんだ。「何度もやめた方がよかったとは思ったが、何とかして続けた意味を見つけたい」。その一念でここまできた。
現役最後は、2017年世界選手権で初のメダルとなる銀を獲得した200メートル個人メドレー。当時マークした2分7秒91は今も日本記録として輝く。「自分を超えていってほしい」。大舞台での活躍を夢見た自身のような後輩の登場を、心待ちにした。
[時事通信社]
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