会長ら報酬返納、担当理事辞任=中国語ニュース放送問題で―NHK
NHKは10日、ラジオ国際放送などの中国語ニュースの中で、中国籍の男性外部スタッフ(48)が沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」などと発言した問題を受け、国際放送担当の傍田賢治理事が同日付で辞任したと発表した。稲葉延雄会長や井上樹彦副会長ら4人の役員は報酬の50%を1カ月、自主返納する。
NHKの国際番組基準には日本政府の公的見解を正しく伝えるなどの項目がある。今回はこれに「抵触する極めて深刻な事態を招いた」上、事前の備えや事後対応に問題があり、責任を明確にするとしている。この他国際放送局長ら5人を減給などの懲戒処分にした。
記者会見した稲葉会長は今回の事案について「放送の乗っ取りとも言える事態。会長として誠にざんきに堪えない」と述べた。
問題の放送があったのは8月19日。このスタッフは靖国神社で落書きが見つかった器物損壊事件を報じる際に、尖閣諸島を「中国の領土」と発言したり、「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。731部隊を忘れるな」などと原稿にない発言を加えたりした。
NHKが公表した調査報告書によると、事前の打ち合わせでスタッフは「そのまま中国語で放送したら個人に危険が及ぶ」などと強く反発。その後のやりとりを経て、落ち着きを取り戻し、放送時間も迫っていたため読み手を変えなかった。
スタッフとは2002年、NHKの関連団体が委託契約を締結。これまでも処遇の不満を漏らすことや、尖閣諸島を例に翻訳業務を拒否できるか尋ねることがあったが、過去3カ月分の放送では、原稿にない発言は確認できなかったという。
スタッフとの契約は関連団体が8月21日付で解除。NHKも信用毀損(きそん)などの損害賠償を求める訴訟を今月9日に起こした。
[時事通信社]
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