マドゥロ大統領の思惑通りに=野党候補、スペイン亡命―ベネズエラ
【サンパウロ時事】7月のベネズエラ大統領選で野党統一候補だった元外交官エドムンド・ゴンサレス氏が8日、政治亡命のためスペインに到着した。マドゥロ大統領率いる反米左派政権による弾圧に屈した格好で、選挙に不正があったと抗議してきた野党陣営にとって痛手。事態は来年1月の3期目就任に向け、「当選」の既成事実化を図るマドゥロ氏の思惑通りに進んでいる。
スペインからの報道によれば、ゴンサレス氏は到着後、音声メッセージを発表。「ベネズエラの自由と民主主義の回復を達成するため、闘いを続ける」と宣言した。
ベネズエラでは、選管当局が発表した「マドゥロ氏3選」を最高裁も支持。ゴンサレス氏がこれに反する集計結果を公表し続けたため、検察は扇動や公文書偽造などの容疑で逮捕状を取った。同氏と二人三脚で選挙戦を展開した野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏は、「ゴンサレス氏の命を守ることが必要だ」と亡命に理解を求めた。
ゴンサレス氏は数日前、首都カラカスのスペイン大使館に逃げ込んだ。ベネズエラのロドリゲス副大統領は7日、ゴンサレス氏の亡命についてスペイン側と接触し、「国の安定と政治的平和のために」出国を容認したと説明。国際法を順守したという姿勢を強調した。
米欧などは選挙が透明性を欠いたとして、投票所ごとの詳細な開票結果を公表するよう求めてきたが、選管当局は拒否している。欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)は8日、「ベネズエラの民主主義にとって悲しい一日だ」と嘆いた。
野党側は、ベネズエラに残るマチャド氏を軸に抗議行動を続ける方針だ。ただ、政権交代に期待を寄せた人々の思いは落胆に変わりつつあり、デモ参加者も減少している。マチャド氏は「最後まで闘う」と強調するが、事態打開につながる有効な手段を見いだせていない。
[時事通信社]
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