詐欺容疑で投資会社幹部を告訴=M&Aでトラブル、警視庁が受理―都内企業、5億円超被害か
中小企業のM&A(合併・買収)を繰り返す投資会社、ルシアンホールディングス(東京)の役員2人に5億円超相当の自社株をだまし取られたとして、都内の企業が警視庁に詐欺容疑で告訴状を提出し、受理されたことが7日、関係者への取材で分かった。
中小企業のM&Aを巡っては、買収をした企業が、売り手側企業と結んだ契約内容を守らずトラブルになるといった事案が相次いでいる。中小企業庁は「悪質な買い手」の排除に向けた指針を策定するなど、対策に乗り出している。
関係者によると、この企業は2022年、自社をルシアン社に売却することで合意。5億円超相当の全自社株と引き換えに、同額分の小切手を受け取ることになっていたが、株式譲渡後、ルシアン社側と連絡が取れなくなった。
倒産時に経営者が債務返済義務を負う「経営者保証」についても、株式譲渡後にルシアン社に移す契約が守られなかった。その後、ルシアン社はこの企業名義で土地を購入するなどしており、企業の社長が一部の支払いを求められたという。
この企業が提出した告訴状が受理されたのは7月上旬。警視庁は詐欺容疑での捜査を進めるとみられる。
別の関係者によると、ルシアン社に買収された後、資金を持ち出されるなどしてトラブルになった中小企業はほかにも30社以上あるとみられる。倒産を余儀なくされた企業もあるという。
ルシアン社側は取材に対し、「買収先の資金を親会社が使うのは問題ない。むしろ、(買収先として紹介されたのは)問題を抱えた企業ばかりで、ルシアン社も損害を被った」と主張した。
中小企業庁によると、経営者の高齢化や後継者不足を背景に、事業継承に向けた中小企業のM&Aは増加傾向にある。22年は4304件に上り、2年連続で過去最多を記録した。
[時事通信社]
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