2024-08-31 19:06スポーツ

61歳伊藤智也、不屈の銅=クラス分けの悔しさ越え―陸上〔パラリンピック〕

男子400メートル(車いすT52)決勝を終え、日の丸を掲げる銀メダルの佐藤友祈(左)と銅メダルの伊藤智也=8月30日、サンドニ
男子400メートル(車いすT52)決勝を終え、日の丸を掲げる銀メダルの佐藤友祈(左)と銅メダルの伊藤智也=8月30日、サンドニ

 陸上の男子400メートル(車いすT52)で61歳の伊藤智也(バイエル薬品)が銅メダルを獲得した。日本勢では史上最年長での快挙。平たんではない道のりを経てつかんだ輝きだった。
 選手らは、平等に戦うため障害の程度を測るクラス分けを受けなければならない。東京大会直前、伊藤はT52より障害が一つ軽いT53にクラス変更となった。「多発性硬化症」という難病で手にもまひがある。それにもかかわらず手に障害のないT53で戦うことに。「100メートルでウサイン・ボルト(ジャマイカ)に中学生の全日本の優勝者が挑むくらいの差がある」。メダル候補だった立場が一変。決勝にも進めなかった。
 本人が失意に暮れる一方で、所属先など周囲の人々の視線はすでにパリ大会に向いていた。病気が進行したことでクラス分けを受け直す機会を今年得て、再びT52に戻った。「東京からの3年間は全然無駄でもなかったし、その間一度も諦めたこともなかった。だからこそ、こうやって帰ってこられた」と感慨深げだった。
 伊藤智には夢がある。自身が開発に携わり、試合でも使用している競技用車いすの技術が、一般社会でも広く使われるようになることだ。「僕の任された仕事としては、そのテクノロジーを走らせること」。大ベテランの挑戦は続く。 (時事)
[時事通信社]

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