ガザ停戦交渉こう着=イランは報復自制続く―ハマス最高指導者暗殺1カ月
【カイロ、イスタンブール時事】イランの首都テヘランでイスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏が暗殺されてから31日で1カ月。パレスチナ自治区ガザの停戦交渉ではハマスもイスラエルも主張を曲げずにこう着が続いている。イスラエルへの報復を宣言したイランは反撃を自制し、対応やその後の影響を慎重に計算しているもようだ。
暗殺を実行したと報じられているイスラエルはこれまで関与を明言していない。しかしネタニヤフ首相は暗殺事件に関連し「(ハマスに)壊滅的打撃を与えた」と発言しており、他のハマス幹部への圧力を強め、ガザで拘束される人質解放を含む停戦交渉を優位に進める意図があったとみられている。
ただ、ハニヤ氏はカタールを拠点とする在外幹部の一人で、戦闘や停戦交渉の方針に関する最終決定権はガザ地区トップの対イスラエル強硬派シンワル氏が持つとされてきた。ハニヤ氏後継に穏健派の在外幹部でなくシンワル氏が選出されたことで、ハマスが抵抗を強めるとの見方もある。
ハマスはハニヤ氏暗殺後も停戦交渉が行われたカイロに代表団を送ったが、譲歩する姿勢を見せていない。交渉を仲介する米国のカービー大統領補佐官(広報担当)は「進展が続いている」と楽観的見方を示すものの、ハマスはイスラエルの主張するガザ駐留継続を拒否するなど双方の対立は解消していないのが実情だ。
一方、暗殺を許して面目をつぶされたイランは、最高指導者ハメネイ師が「われわれの領土で賓客が殉教させられた」と憤慨し、強力な反撃が行われるとの観測も浮上した。イランが暗殺1カ月の節目に報復を行うとの臆測も消えていない。
だが、周辺国の緊張緩和に向けた外交努力や米国の軍事的威圧などを受け、イランは「ガザ停戦への悪影響回避」(国連代表部)を名目に自制を続けている。精鋭軍事組織「革命防衛隊」も「長く待つかもしれない」と主張。報復攻撃までさらに時間を要する可能性も強まっている。
ハニヤ氏暗殺の前日に最高幹部を殺害されたレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは25日にイスラエルに報復攻撃を行ったが、標的が限られ、イランや親イラン組織との連携を見送る単独攻撃だった。米紙ニューヨーク・タイムズは「限定的な報復を模索するイランの方針を反映している」との専門家の分析を伝えている。
[時事通信社]
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