国債利払い費、10.9兆円=金利上昇で膨らむ―25年度概算要求
財務省は29日、2025年度一般会計の概算要求で、借金である国債の元本返済と利払い費を合わせた「国債費」を28兆9116億円とすると発表した。利払い費は10兆9320億円を計上し、当初予算で比較すると15年度以来10年ぶりの10兆円台となる。日銀の追加利上げに伴う長期金利の上昇を反映したためで、超低金利を当てにした借金頼みの財政運営は転換点を迎えている。
国債費の概算要求額は、当初予算で比べると過去最大だった24年度(約27兆円)から7%増加。利払い費の要求額も12.8%増える。利払い費は、日銀が巨額の国債を購入して金利を低く抑える「異次元緩和」を背景に、16年度以降は年8兆~9兆円台にとどまっていたが、「金利のある世界」の復活を受け、25年度の要求額は10兆円の大台に乗った。
国債費の要求額が膨張したのは、利払い費を算出するための想定金利を2.1%まで引き上げたためだ。想定金利は長期金利の動向を踏まえて決定するもので、概算要求時に2%を超えるのは16年度予算以来。17~23年度予算では1.1%に据え置いていたが、日銀の政策修正を受けて24年度は1.9%に引き上げた。
普通国債の発行残高は新型コロナウイルス流行や物価高への対応で急増し、既に1000兆円を突破した。利払い費が一段と膨らめば、社会保障や成長投資など政策経費の余地が狭まる。財務省は25年度以降の金利水準が現在より1%上振れした場合、33年度の利払い費がさらに8兆7000億円増えると見積もる。
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