2024-08-26 10:24社会

高齢者狙う金塊詐欺相次ぐ=新手の手口か、1億円被害も―警戒呼び掛け・愛知県警など

金塊(AFP時事)(資料)
金塊(AFP時事)(資料)

 高齢者が金塊を購入するよう指示され、だまし取られる事件が6月以降、愛知県などで相次いでいる。1件当たりの被害額が800万円から1億円と大きいのが特徴で、捜査関係者は「これまでにない手口。今後も続くのではないか」と警戒を強めている。
 「あなたの携帯電話が使えなくなります」。7月上旬、名古屋市の70代女性の自宅に「総務省総合通信基盤局」を名乗る音声ガイダンスの電話があった。ガイダンスに従って電話すると警察官を名乗る男につながり、「あなた名義の口座や携帯電話が犯罪に使われている」と言われた。
 男はLINEを通じて警察手帳や女性の名前が書かれた逮捕状を見せ、「金の流れを調べるため、口座に入っている現金を全て金塊にしてほしい」と指示。パニックになった女性は貴金属販売店で計1.5キロの金地金(時価約2000万円)を購入した。指示通りに紙袋に入れて玄関先に置くと、黒っぽい服装の男が持ち去った。
 同種の詐欺は6月以降、東京都や大阪府、京都府、愛知県、静岡県で未遂も含め少なくとも10件確認されている。1カ月以上詐欺だと気付いていなかった被害者もおり、実際にはもっと増える可能性もある。
 複数の捜査関係者は「当初はなぜ金塊を購入させる必要があるのか分からなかった」と困惑する。一般的な振り込め詐欺では、銀行窓口で高額を引き出す利用者に行員が声を掛け、未然に詐欺を防ぐことが可能だ。一方、今回の手口は、被害者が正規の店舗で購入するため、銀行に立ち寄る必要がない。愛知県警の幹部は「資産として購入すると思われ、怪しまれることがない」と指摘する。複数の口座を一つにまとめ、全額を金塊に換えたケースもあり、高額な被害につながっている。
 この幹部は「警察がLINEで逮捕状を示したり資金調査をしたりすることは絶対にない」と断言。県警はアプリなどを通じて注意喚起を強化する方針だ。貴金属販売大手の三菱マテリアル(東京)も7月、ホームページで金塊詐欺に注意を呼び掛けた。 
[時事通信社]

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