デブリの試験的取り出し中止=手順ミス、再開時期は未定―福島第1原発・東電
東京電力は22日、福島第1原発事故で溶け落ちた2号機の核燃料(デブリ)の試験的取り出し作業を中止した。準備作業中、デブリの回収装置の取り付け手順でミスが発覚したという。同社は原因や詳しい経緯を調べており、再開時期は未定。デブリを格納容器から取り出すのは、2011年の事故後初の試みだった。
東電によると、取り出しに向けた準備作業は午前7時25分ごろから開始。遠隔操作で「テレスコ式」と呼ばれる釣りざお状の装置を格納容器との接続部の手前まで進入させたが、作業員が同装置に取り付ける5本のパイプの接続順序に誤りがあることに気付き、作業を中断した。当初は格納容器内まで投入し、約2週間かけて底にたまったデブリから最大約3グラムを取り出す予定だった。
東電の担当者は同日午後の会見で、「(ミスに)気付けたことは良かったが、起こったことは初歩的だと感じている」と釈明。原因や再発防止策を取りまとめた上で作業を再開する方針を示した。
同社の小早川智明社長も、訪問先の新潟県柏崎市で報道陣の取材に応じ、「試験的取り出しは、廃炉の中でも一番重要な局面。焦って大きなトラブルになるよりは、安全優先で進めることが必要だ」と述べた。
同原発1~3号機内には、事故により高温で溶けた燃料と原子炉の構造物が混ざり合って固まった約880トンのデブリがあると推定されているが、詳しい状態や性質は分かっていない。放射線量の極めて高いデブリの取り出しは、廃炉作業の中でも「最難関」とされている。
試験的取り出しは当初、21年に着手する予定だったが、新型コロナウイルス流行の影響で海外での装置開発が遅れたり、作業時に使用する配管にたまった堆積物除去が難航したりするなど、これまでに3回延期されていた。
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