県立高の共学化「主体的に推進」=具体的な時期は示さず―埼玉県教委
埼玉県立高校の男女共学化の是非を検討していた県教育委員会は22日、「主体的に共学化を推進していく」とする報告書を公表した。県教委は共学化の対象について、県内の男女別学全12校を念頭に置くとした。ただ、報告書には具体的な時期や校名を示さなかった。
同日記者会見した日吉亨教育長は「12校の共学化をゴールとして考える必要はある」と述べた。県教委は今後、アンケートや地域別の意見交換会、有識者へのヒアリングなどを通じて県民の意見を把握しつつ、各校に理解を求めていく方針だ。
報告書は、共学化を進める理由として「高校の3年間を男女が互いに協力して学校生活を送ることには意義がある」と明記。一方で、共学化や別学維持に対し「多様なニーズがある」との文言も盛り込んだ。
また、人口減少や教育ニーズの多様化を踏まえ「将来にわたり個人の能力と希望に応じた進学先の選択肢を用意することが求められる」とした。
県内にある男女別学は、男子校が浦和高校など5校、女子校は浦和第一女子高校など7校の計12校。県内の全公立高の約1割を占める。県内では、浦和高校が男子の東大進学率トップとなるなど、多くが高学力の「エリート校」とされる。県教委によると、公立の別学校は栃木、群馬、千葉各県など関東地方に多く残っている。
報告書は、県男女共同参画苦情処理委員会が昨年8月、共学化の早期実現を勧告したのを受けて作成された。同様の勧告は約20年前にも行われ、県教委は当時、別学を「当面維持する」との方針を決めていた。
別学維持を要望していた浦和高校の同窓会は決定を受け「非常に不満で残念。別学を維持すべきだと書いてほしかった。内容も不明瞭で当事者の意見を無視した報告書になっている」とコメントした。
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