最低賃金1000円超が倍増=25県、国の「目安」上回る
2024年度の最低賃金改定を巡り、21日までに25県が国の示した「目安額」の50円を上回る引き上げを決めた。人手不足に伴う人材獲得競争が背景にあり、時給1000円超えも昨年度の8都府県から16都道府県に倍増。新たな最低賃金は10月1日以降、順次適用される。
国の審議会は7月下旬、最低賃金を全国平均で50円引き上げ、時給1054円とすることを決めた。全国をA~Cの3地域に分けた目安額も各50円とした。
今月21日までに45都道府県の地方最低賃金審議会が引き上げ額を答申。A地域に比べ賃金が低いB、C地域を中心に、目安額を大幅に上回る例が相次いだ。引き上げ額が最も大きいのは愛媛県の59円で、島根県の58円、鳥取県の57円が続いた。
時給1000円を超えるケースも続出。静岡県(1034円)や広島県(1020円)、北海道(1010円)などが大台に乗せた。
背景にあるのは、物価高や24年春闘での賃上げに加え、都市部や隣県に働き手を奪われまいとの危機感。最低賃金が全国最低レベルの岩手、徳島両県は、他地域の結果を踏まえ8月下旬にも答申する見通しで、地域間競争は激化している。
ただ、雇用の受け皿となる中小・零細企業の経営は厳しさを増す。愛媛県経営者協会の八塚洋専務理事は、「価格転嫁を求めると契約を切ろうとするケースもある」と指摘。価格転嫁が浸透しないまま人件費が増えれば、企業の経営基盤を揺るがし、地域経済にもマイナスとなりかねない。
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