「どう行動するか学んで」=伝承館の「原点」つくった副館長―広島土砂災害10年
災害関連死を含め77人が犠牲となった広島市の土砂災害から20日で10年となるのを前に、被害が大きかった同市安佐南区に開館した「広島市豪雨災害伝承館」の畠堀秀春副館長(67)が取材に応じ、「災害時に、どう行動するかを学んでほしい」と訴えた。
2014年8月20日未明に起きた土砂災害で、安佐南区では住宅267棟が全半壊し、68人が土砂にのまれるなど、災害を直接の原因として死亡した。
青少年のためのボランティア活動などをしていた畠堀さんは発生時、同区の自宅にいた家族から「家が壊れている」と連絡を受けた。家族に自宅にとどまるよう伝え、帰宅してみると、屋根は崩れ落ち、家の中にも土砂が流れ込んでいた。
幸い家族は無事だったが、畠堀さんは「家の中の方が安全だと思っていた。避難するという意識はゼロだった」と振り返る。
発災後、地域住民が語り合う場が必要と考えた畠堀さんは地元有志と共にお好み焼き店「復興交流館モンドラゴン」をオープン。店では多くの住民がお好み焼きを食べながら世間話をしたり、復興に関する行政支援について情報交換したりした。そうした中、教訓を伝えるための活動拠点を求める声が高まり、畠堀さんらが松井一実市長に要望。伝承館は、同店が「原点」となって建設された。
昨年9月にオープンした伝承館は鉄筋2階建てで、延べ床面積は約500平方メートル。CGによる土石流の再現映像を見ることができる。復興の取り組みなどを伝えるパネルも展示されており、畠堀さんら被災者による語り部活動も行われている。
畠堀さんは「自分がどんな場所に住み、どう避難するべきか考えるきっかけにしてほしい」と強調。「子どもや学生への伝承活動に力を入れていきたい」と話した。
[時事通信社]
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