ガザ停戦交渉、重大局面=決裂なら中東危機拡大―米長官、イスラエル訪問へ
【ワシントン、カイロ時事】パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦を巡る交渉は、重大局面を迎えた。交渉を仲介する米国とエジプト、カタールは、これまでに合意した部分を土台に、双方の間に横たわる「溝を埋める提案」を提示。18日から始まる週内にカイロで交渉を再開し、合意にこぎ着けたい考えだが、ハマスは強硬姿勢を崩していない。決裂すれば、中東危機拡大という事態が待ち受ける。
停戦案は3段階で構成され、6週間の戦闘休止と人質解放、ガザからのイスラエル軍撤収、恒久停戦が柱。だが、ガザ南部のエジプト境界付近からの軍撤収や北部に帰還するガザ住民への検問などに関し、イスラエル側が態度を硬化させているとされる。新たな提案は、こうした状況を打開することに焦点を当てた内容とみられる。
しかし、AFP通信によれば、ハマスは新提案の提示発表後も、軍の駐留継続を目指しているなどとイスラエルを強くけん制。イスラエル首相府も「仲介国の圧力でハマスが原則を受け入れることを望む」と表明し、譲歩しない構えを示した。
バイデン米大統領は16日、「これまでになく合意に近づきつつある」と強調し、ブリンケン国務長官を17日からイスラエルに派遣すると発表した。米政府高官も記者団に「交渉妥結の機運があると強く信じている」と述べた。ブリンケン氏はネタニヤフ首相に提案受け入れを迫るとみられるほか、中東にとどまり、人質解放やガザへの人道支援など合意内容の履行準備も進める方針だ。
交渉は、イランの動向にも影響を与える。首都テヘランでハマスの最高指導者ハニヤ氏が暗殺されたことを受け、イランはイスラエルへの報復を宣言。ハマスの「後ろ盾」とされるイランは交渉の行方を見極めているとされ、決裂すればイスラエル攻撃に踏み切る恐れがある。
一方、ガザの人道状況は切迫している。国連は16日、ガザでポリオ流行の恐れがあると発表し、ワクチン接種を目的に休戦を呼び掛けた。ガザでは過去25年間、ポリオ感染例がなかっただけに、停戦を通じた衛生環境の改善がこれまで以上に求められている。
[時事通信社]
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