鈴木、終盤までメダル争い=難関アップダウンで巧みに―女子マラソン〔五輪〕
鈴木は右手を振り下ろし、ゴールを駆け抜けた。2008年北京大会以降、女子マラソンの日本勢で最高となる6位。アフリカ勢らと堂々と渡り合い、体力を冷静に見極める判断力も光った。「本当に楽しいオリンピックでした」。晴れやかな笑顔で実感を込めた。
「五輪史上最難関コース」をうまく利用した。自己記録が10分以上も速い世界記録保持者のアセファらを、得意のアップダウンで追い上げた。15キロ地点で先頭から約15秒遅れた後は上り坂で追い付き、30キロ付近で離れた際は下り坂で再び並んでみせた。
上りと下りで腕振りを変えることで、「脚に余力を残すことができる」。環境に順応して調整するセンスは抜群。米コロラド州ボルダーの高地合宿で起伏の激しいコースを走り込んだ成果が実った。約35キロまでメダル争いを演じ、「ワクワクした」。離された後も急失速しないペースを考えて走り抜いた。
昨年10月の五輪代表選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で優勝。今年5月に左脚を痛め、軽度の疲労骨折の疑いで約3週間走れなかった。「自分は何をやっているんだ」と焦る気持ちを必死に抑え、1カ月半で体を仕上げた。
日本記録保持者の前田は故障で欠場。「悔しさは計り知れない。代わりに全力を出し切りたい」と思いも背負って駆け抜けた。初出場の大舞台で自己記録を7秒更新。「メダルを獲得できるところまで何としてでもいきたい。ロサンゼルス五輪に照準を合わせていきたい」。4年後の飛躍を思い描いた。 (時事)
[時事通信社]
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