2024-08-10 21:04社会

迷いなき登り、恩師の助言=「トップ」の足技、4位入賞―クライミング・森選手〔五輪〕

女子複合決勝リードの課題に挑む森秋彩選手=10日、ルブールジェ
女子複合決勝リードの課題に挑む森秋彩選手=10日、ルブールジェ

 スポーツクライミング女子複合で4位に入賞した森秋彩選手(20)=茨城県連盟=は「世界トップクラス」の足技を持つ。登りに迷いがあったが、恩師のアドバイスで改善し、飛躍を遂げた。五輪初出場で進んだ決勝は、得意のリードでライバルを圧倒した。
 父に連れられ、小学1年から近所の「スポーレクライミングジム」(同県つくば市)で競技を始めた。熱中したのが、高さ十数メートルの壁を登り、到達した高度を競うリードだ。
 店長の青木達哉さん(39)は「難しいルートも繰り返しトライして登り切っていた。持久力があり、黙々と登る。クライミングマシンのようだった」と振り返る。
 小3から定期的に指導する元トップクライマーの伊東秀和さん(48)も粘り強さに舌を巻いた。限界までしがみ付き、上を目指す姿に「ギブアップしない。登り始めたら全力」と話す。
 小柄な森選手は大きな動きが苦手だったが、小学生の頃から足の使い方にたけていた。普通なら足を乗せられないような小さなホールド(突起物)にも体重を掛けることができ、伊東さんは「足の技術は世界トップクラス」と太鼓判を押す。
 足技を武器に高校時代から国際大会で上位に食い込んでいた森選手。だが、持久力があるが故に途中で止まり、どういうルートで登るかを考える「無駄」が多かった。「もじもじ登るのは駄目。世界で勝つにはリスクを背負ってガンガン行かないと」。伊東さんは試合前の下見時間の使い方を見直させ、「ポジティブな登り」をたたき込んだ。
 特訓の末、2022年秋に挑んだリードのワールドカップで初優勝。その勢いのまま、初の五輪の切符をつかんだ。伊東さんは言う。「流れるような、迷いのない登りになった」。 
[時事通信社]

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