時代とともに「アスリート」へ=第一人者、SHIGEKIX―ブレイキン・半井重幸〔五輪〕
ブレイキン(ブレイクダンス)の第一人者、SHIGEKIXこと半井重幸選手(22)=第一生命保険=が初めて海外に挑戦したのは、今から10年ほど前。自分を前面に押し出すような性格ではなかった大阪の少年は、踊りで世界とつながれる楽しさに瞬く間に魅了された。当時はまさか、「踊り」が五輪競技になる時代が来るとは想像もしていなかった。
ブレイキンがスポーツの文脈で語られるようになった最初の大会が、2018年の夏季ユース五輪。優勝候補として送り出されながら、銅メダルに終わった。「後にも先にもないくらい悔しい思いをした」。カルチャーだったものの扱いが一変するとともに、ダンスそのものへの向き合い方を見直すきっかけになった。
もともと頭脳派でストイック。場数をこなすことも軽視しないが、表現の幅を広げるために何が必要かを考えることに重きを置く。「スポーツ的なアプローチの仕方(の重要性)が高まっている」。通常のダンス練習と別に、筋トレと有酸素運動を繰り返すサーキットトレーニングを4年ほど前に導入。ブレイキンでは珍しい手法だ。急速に進む「スポーツ化」の流れの中でさまざまな角度でアプローチを加え、才能は一段と開花した。
結果が全てではないという価値観に身を置きながら、常に高みを目指す。食事管理は徹底し、外で買うときは裏面の成分表示にまで目がいく。姉でダンサーのAYANEこと彩弥さん(26)は「誰よりも早くアスリートぽくなった」と振り返る。
五輪競技に発展する過程では、複雑な採点への賛否や、果たしてスポーツなのかという声も聞こえてくる。無情にも次の28年ロサンゼルス五輪の実施競技からは外れてしまったが、心の中には変わらない思いがある。
「ブレイキンの魅力に気づいてもらい、価値を上げたい。触れることで多くの人の生活や人生が豊かになってほしい」。旗手を務めた開会式から2週間がたち、待ちに待ったパリ中心地にあるコンコルド広場のステージへ。またとない大舞台。精いっぱいの踊りで体現する。 (時事)
[時事通信社]
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