地球残すには核廃絶を=被爆者代表の三瀬清一朗さん―長崎原爆忌
「戦争の愚かさから目をそらすことはできない」。長崎市の平和祈念式典で被爆者代表として「平和への誓い」を読み上げた三瀬清一朗さん(89)は、戦火が収まらないウクライナやパレスチナで多くの子供たちが命を落としている現実を憂い、平和の尊さを強く訴えた。
三瀬さんは10歳の時、爆心地から3.6キロの自宅で被爆した。爆風が家の中を吹き抜け、「恐怖におびえながらじっとたえていた」。幸いにも家族は全員無傷だったが、通っていた国民学校の様子を見に行くと、見慣れた風景は一変していた。男女の区別もつかないほど血だらけの人の姿が脳裏に焼き付いている。「体育館の中は夏の暑さと漂う異臭で地獄のような状態だった」と振り返った。
あれから79年。地球上には今なお多くの核弾頭が存在し、核兵器の使用を示唆するような緊張が続く。三瀬さんは「万一使用されると地球がとんでもない状態になる」と強く懸念する。「子供や孫たちが安心して過ごせる青い地球を残していく」ため、核兵器廃絶の必要性を懸命に説く。
若者らに核兵器の恐ろしさを伝える語り部として活動してきた三瀬さん。「平和とは何かを皆さんと一緒に考え、可能な限り(活動を)続ける」と誓った。
[時事通信社]
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