存分に楽しんだ決勝=村竹、気後れせず大健闘―陸上〔五輪〕
日本選手として初めて立った男子110メートル障害決勝の舞台。村竹は客席を埋め尽くした観衆の大歓声に包まれ、夢中でトラックを駆け抜けた。13秒21で5位入賞。「楽しかった」。興奮気味に至福の時間を振り返った。
入場の場面から、存分に楽しんだ。人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」で知られたポーズ「ジョジョ立ち」を披露。世界の強豪とスタートラインに並んでも、気後れはしなかった。
号砲に対する反応時間は0秒161で最も遅く、1台目のハードルに足を当てた。それでもすぐに立て直し、3、4番手で終盤まで走った。「自分のレーンしか見えていなかった」ほど集中し、後半にはバランスを崩しかけながらも耐えてゴール。銅メダルの選手との0秒12差は「届きそうで届かない」と悔しさも残ったが、大健闘だった。
2022年に初出場した世界選手権は予選敗退と壁にはね返された。背中を追っていた順大の先輩の泉谷駿介(住友電工)が翌年の世界選手権で日本勢初の決勝進出を果たすと、「決勝で戦うことも不可能じゃない、と勇気をもらえた」。直後に泉谷に並ぶ13秒04の日本記録をマークし、一気に世界トップが近づいた。
日本選手が五輪で初めてこの種目に出場してから96年で、決勝の扉をこじ開けた22歳。ゴールすると、すぐに来年の世界選手権東京大会に狙いを定めた。「来年こそは絶対にメダルを取ってやると思えた。逆襲してやりたい」。闘志をたぎらせ、国立競技場で表彰台に立つ姿を思い描いた。 (時事)
[時事通信社]
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