脱炭素で中央アジア支援=岸田首相、9日から歴訪
岸田文雄首相は9~12日の日程でカザフスタン、ウズベキスタン、モンゴルを歴訪する。カザフでは中央アジア5カ国と日本による初の首脳会合に出席し、脱炭素など3分野を柱とする協力を表明する。経済分野を中心に日本の存在感を高め、ロシア、中国の影響力低減を図る狙いだ。
5カ国はいずれも旧ソ連構成国で、ロシアとつながりが深い。東アジアと欧州を結ぶ地政学的な要衝に位置し、近年は中国が影響力を強める。
日本は2004年に中央アジアとの対話の枠組みをスタートさせ、9回の外相会合を重ねた。林芳正官房長官は8日の記者会見で「これまで築いてきたパートナーシップ、互恵的協力をさらに深化させる」と強調した。
首相は首脳会合で、中央アジアの持続的な発展を促進するため、(1)脱炭素(2)物流網(3)人材育成―に重点を置いた新たな協力イニシアチブを打ち出す。共同宣言には「法の支配」の重要性も盛り込む見通しだ。首相は5カ国首脳と個別会談も行い、各国のニーズを踏まえた協力方針を伝える。
中央アジアは経済成長率と人口の伸び率が高水準で、新規市場として企業の注目が高い。首相訪問に合わせ、カザフとウズベクでは日本企業延べ約50社が参加するビジネスフォーラムを開催。エネルギーや物流などの分野で多数の新規案件を公表する。
モンゴルではフレルスフ大統領と会談。防衛装備品の輸出を可能とする「防衛装備品・技術移転協定」の大筋合意を目指す。モンゴルは隣国の中国、ロシアとの関係も維持しつつ、「第三の隣国」として日本を重視。首相は連携強化の方針を示す。
モンゴルは北朝鮮と外交関係を維持する「友好国」として知られる。北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさん=拉致当時(13)=の両親は14年にモンゴルで、めぐみさんの娘キム・ウンギョンさんと面会した。首相は大統領との会談で、引き続き拉致解決への協力を要請し、北朝鮮の核・ミサイル開発問題についても協議するとみられる。
[時事通信社]
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